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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第32章 私のヒーロー








「流れてるんじゃないですかッ!!!!」


「……………。」


「た、助けないと!!!!」



きっと真っ青な顔で叫ぶ私とは対照的に落ち着き払った様子でワニ肉の仕上がり加減をチェックする様子に地団駄を踏む


「イルミさんッ!!!!」


危険な川に人が流れている、その様子を目撃すれば人間は反射的に人命の救助を試みるものじゃないだろうか………



そうだった…………彼は普段私に優しく紳士的かつ過保護に接してくれている

だからこそ今の場面でも当然同じ反応が返ってくるものだと思っていた



しかし本来の彼には道徳等皆無なのだ………

暗殺者として第一線で暗躍する彼、至極当然の反応だ

彼からしてみれば極僅かなリスクでも、それを侵してまで他者を救出するなど馬鹿馬鹿しい事だろう

生死に関して言うならことさら一貫して他者に無関心であり、暗殺者として俯瞰するならそれが正解なのかもしれない

彼には家業に並々ならぬポリシーが存在する

その全てを知っている訳では無いけれど、時折垣間見えるそれは気高いものだ

ここで私の意思に沿う行動を取るのは彼のポリシーに反する事なのかもしれない


……………だけど……………





「イルミさん!!!私見殺しにしたくない助けたいです!!!」



ごちゃごちゃと考えていても時間は過ぎて行く

考えるより儘よと叫べば、彼は大きな溜息をついた



「そんな顔しないでよ。」



ゆるゆる頭を掻きながら腰を上げた彼はポツリと漏らした



「………こんな事本当なら誰に頼まれたってしないんだけどな。」




瞬きの合間に消えた姿ザバリと騒いだ水音に視線を遣れば

彼が川に飛び込んだ所だった






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