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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第32章 私のヒーロー



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パチパチと小枝が弾ける焚き火の中には、香り付けの為に葉に包まれたワニ肉が投入されてどれだけの時間が経ったのだろう

しっかりと火を通す為にそれなりの時間がかかるのだと彼は語った


彼のサバイバル知識は流石なもので、どこまで博識なんだ……なんてうっとりしながらも静かな時が続いていた

不規則な焚き火の音を聞いていると濁流の川の音も癒やしに錯覚して、隣で静かに睫毛を伏せる彼とも心地好い無言が広がる


ただ今に浸りながらぼんやり眺める濁り川


本日はどれだけ漕ぎ進むのだろう……




…………なんて、まったりしていたのも束の間だった


荒くうねる川の流れの中に人の姿を見たのである



瞬間その場に立ち上がった私は、真偽の程を確かめるように目を凝らした




バクバクと早い心音……もし本当に人が流れているのだとしたら………



「沙夜子……?」



昨日より幾分荒れた川の様子に「何処かで雨が降ったんだろう」なんて彼の言葉を思い出す

大きな流木が漂着するのを横目に見ながら、やはり先程の形は人だったと嫌に確信して




もしも本当に人だったとしたら………



……………あんな危険な川に自分が流されてしまったとしたら…………




私がそんな事を考えていたほんの一瞬、川の波間に見えたのはやはり人の姿だった






「イっイルミさん……人が流れてる!!!!」






途端にゾッとして何の考えもまとまらないままに立ち上がる



「………あー、流れてるね。」





助けなければ……!!!!






…………あー、流れてるね…………?




「……………え!???」





既にパニック状態の頭が更に混乱した


妙に気怠げな雰囲気の彼から放たれた何とも間延びした声が木霊する






…………あー、流れてるね…………?








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