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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第32章 私のヒーロー








私なんて軽く一飲み出来るだろう頭には私の顔くらいの大きさの牙が変則的に並んでいて本能的に恐怖心を駆られる



それでも尚好奇心に弾む胸に私はあるデジャヴを感じた



水槽越しにピラルクーを見ている時の感覚に似ている!!!



一緒に泳ぐのは断固無理でも絶対安全圏から見るからこそ怖楽しいあの感じだ!!!


高いタワーに上ってバンジーは無理でも絶対安全なガラス床を歩くみたいなあの感じにも似ている………


私はワニをまじまじ観察しながら歩いて、巨体に対しては小振りながらそれでも私の胴体程ありそうな前足の前で立ち止まった


長くて鋭い爪だ



私が再びゾワゾワしていると突然背後から声を掛けられて心臓を口から吐き出しそうになった




「何見てるの?」


「…………びっくりしたぁ………!」



振り返ると彼は気配も無く直ぐ側に立っていた



「……いやぁ凄い爪やなって……」


「ふーん。」



質問しておいて興味無さげな彼は緩く私の肩を引いた




「?」


「ノコギリワニはこの辺りで食べられている立派な食材なんだよ。」


「えっ!!!」


「部位は前足の肉、……そこにいると汚れるよ?」


「…………はい、すみません!!」




私が咄嗟に距離を取ったのは彼の左手がビキビキと変形している事から解体を悟ったからである




……………そうか………私は今からあいつを食べるのか………………





……………………嫌だなぁ〜…………………!!!!





正直見た目のインパクトが強過ぎて食欲がガッツリ衰退して行く



昨日の説明を思い出す



『レトルト食品はスープのみ日数分、多湿だからパンは今日だけで明日からは基本的に自給自足だ。』


その時はぼんやり木の実でも食べるのかなぁとか、また彼が狩りをするのかなぁなんて考えていたけれど


まさか狩りした獲物が馬鹿なくらい大きなワニだとは思いもしなかった…………



今更間近で観察してしまった事を酷く後悔する


まじまじ見てしまった事で不気味に隆起して凹凸を作る皮膚やブヨブヨしたグロテスクな質感を知ってしまった……………ッ





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