ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第31章 馬鹿は黙って漕ぐ
このジャングルにやって来てからのお手洗い事情は私にとって悲惨だった
まず第一に現在いる拠点から50m以上離れる事
これは嗅覚の鋭い生物が排泄物に寄って来てそのまま拠点を襲うリスクを下げる為だそう
次に排泄時は穴を掘り排泄物を埋める事
これも生物がなるべく拠点に近付かない為の対策だと聞かされた
次に必ず彼に同行して貰う事
これに至っては説明せずともだが、危険から身を守って頂く為である
先頭を行く彼の背中に着いて行くと「ここでしな」なんて場所まで指定された時には自身をお散歩中の犬かと錯覚したくらいだ
とは言え彼がぴったり隣に立っている訳ではない…………そんなの出るものも出ない
彼は場所だけ指定すると見上げて何十メートルもある亜熱帯の木に軽々登り姿を隠しつつ辺りを見張ってくれているのだ
『言っておくけどそういう特殊性癖ではないよ。』
勿論彼がそんな特殊性癖を隠しているなんて言動からも感じていないのだが、あまりにも唐突な発言に驚いた私は何も答えられなかった
あの時私は何と答えるべきだったのだろうとふと思い出しながらも
どうしたって仕方のない状況にうんざりしてしまって私は個室トイレを思った
「………帰りたいです」