• テキストサイズ

ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第31章 馬鹿は黙って漕ぐ









「イルミさんアマゾン川知ってます?」


「………実際に見た訳じゃ無いけど、水族館にそのようなコーナーもあったし知識としては有るよ。」


容器に移したスープを差し出しながらも目を合わせようとしない彼に私は身を乗り出して声を上げた



「ここってイルミさんの世界的にはそういう川なんじゃないですか?!ワニとかピラニアとかいてる!!」


「そういう川ってどういう川?それよりスープが冷めちゃうよ。」


「だからアマゾン川……ッ!!!」


「………アマゾンガワ……?」


「何でいきなり話分からんなるんですか!!!!」



大きな瞳をクリクリさせてキョトンと小首を傾げる彼の誰も騙せない大根役者っぷりに私は自身が置かれた現状を確信した……


……彼はきっと危険な川だとか生物がいると話した場合、私が恐怖してしまうと判断したのだろう

初めて彼の世界にやって来た当初は平然と色々な生物について話していた彼だけれど、私と過ごす日々の中で私の傾向を掴んでいる

事前にこの場所が危険だと知っていたらそれはそれは盛大にゴネていたに違いない

是か非でも進みたい彼、仕事の都合なのだから断固拒否はしなくとも幼稚園児が如くゴネる私…………

彼はスムーズに事を運ぶ為にわざと事実を隠蔽していたに違いない……ッ!!!!


そして其れ等の彼の憶測は私の特性上火を見るよりも明らかな事態であった



とにかく黙って食べろとばかりに両手に持たされた主食のパンとスープ



………………しかしながら、もう気になって仕方がないッ!!!!!!!


知っていれば回避出来る危険も知らなければスレスレを通るかもしれないじゃないか!!!!


大体見くびらないで欲しい!!!!


逞しい想像力で膨らむ未知の生物にだって全然余裕で咽び泣けるというのに…………ッ!!!!




私は酷く小さな声を漏らした





「………イルミさん…………何も知らない方が厄介やと思いません?」


「…………。」





「………ほら、私って想像力豊かでしょ………?」





数分ぶりにバチリと視線が交わった彼の瞳はいつにも増して大きく見えた





/ 341ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp