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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第31章 馬鹿は黙って漕ぐ





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12時37分




私達は昼食の為に1度目の上陸を果たした

流石に小さなカヌーに24時間乗って移動する訳では無く、合間合間に上陸して食事をしたりテントを張って眠るのだ



今は彼が目に見えぬ早さで着火させた焚き火に鍋を吊るして具沢山トマトスープと書かれたレトルト食品を温めている

ゴロゴロと大きな石が滞積した其処は、亜熱帯の密林から少し距離があり私としてはこのジャングルの何処よりも安心感を得られる場所であった


背後に広がる深い緑の密林からは数多の生き物の気配を感じ、そして目の前を流れている川はまるで泥水みたいな色味で酷く不気味である



…………そう言えば彼の世界の生き物は水中でも恐ろしいのだった

確か50mの魚とか……あの黒い鱗が不気味な魚とか………


私はそんな事をありありと思い出しながらそっと視線を外し、パチパチと乾いた音を鳴らす焚き火を見詰めた



「…………イルミさん」


すっと顔を上げ、彼の黒々とした双眼に視線を合わせる


彼は私の呼び掛けに眉を吊り上げるだけの返事をした



「この川危なくないですか?何かめっちゃ怖いんですけど」


「……何が?」



途端にサッと鍋に向けて逸らされた眼差し、今の今まで気にしている素振りも無かった癖に「まだかな」なんてスープの出来を気にし始める




…………彼は嘘を付くのがド下手なのだ



「何って………めっちゃ濁ってるし……イメージ的にアマゾン川みたいで怖いなぁって」




アマゾン川と言えばピラニアとかワニとか、危険な生物の宝庫である

それと類似した環境が彼の世界に存在しているのだとしたら其れ等の生物の全てが嫌にパワーアップしている可能性が大いに含まれているのだ

程遠く川辺に浮かぶカヌーが途端に心許ない物に思えるし、何なら川辺で焚き火をしている今だってワニ的な生物に狙われているかもしれないじゃないか……

どんどんと膨らむ想像に背筋がゾワリとして私の肩はブルンと震えた




「どうしたの震えて、寒いの?」


「全然蒸し暑いですけど、そうじゃなく「スープ出来たよ、温まりな。」



グツグツと煮える熱湯から素手でスープの袋を取り出す彼は醸し出す雰囲気から全てが白々しかった




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