ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第31章 馬鹿は黙って漕ぐ
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なんて感謝に耽けていた私だが………
「…………イルミさん……はぁはぁっ……疲れました……」
「そうは言われても沙夜子が前なんだから頑張って。」
彼の目指す目的地まで約3日、私達は陽気なオレンジ色のカヌーでアマゾン川みたいな川を上る
当初は彼と2人っきりで冒険なんて素敵……!!!きっと素敵なデートになるに違いない……!!!
なんて浮かれていた私は、ウキウキでリュックに荷物を詰め込んで彼にプレゼントされたアウトドアな衣服を嬉々と抱き締めた
しかし到着してみると鬱蒼と生茂る熱帯雨林
そりゃそうだ……目的地は超秘境なのだから…………
あぁ……到着までは楽しかった……彼と久しぶりの2人きり……ロマンチックに星が輝く飛行船では甘く溶けてしまいそうな夜を過ごした
彼の視線が、声が、汗が、私だけに注がれて身も心も満たされて本当に幸せだった……
そこから颯爽と盗難車を走らせて更にジープに乗り換えて………私の三半規管はみるみる刺激され………何度も吐きながら辿り着いたカヌーの乗り込み場所から既に秘境であった
………変な気色の悪い巨大な虫が飛んでいる
薄っすらと暗い密林の奥から不気味に響く鳴き声に笑い猿を思い出し、虫のビジュアルと相まって鳥肌が止まらなかった
長居してはいけない、と私の本能が叫んでいたのだ
過去のトラウマスイッチがオンになった私は、その中に何が泳いでいるとも知らない川へ安々出てしまったのである
私がカヌーにて担うは前方、所謂エンジンの役割
スタート地点から1時間は漕いだだろうか……既に腕が痛い………
「……っ腕がパンパンです……!私後ろがいい……」
バランスの関係で、前が軽い人後ろが重い人になった方が操作性が良くなるとの事で現在の順になったのだが……普通に考えてパワーに特化した彼がエンジンを担うべきなのではと思い至ったのである