第30章 月灯りの下

09月04日




娘が生まれて1ヶ月が過ぎた


ランさんは娘が生まれてから彼が不在の間中ずっと付きっきりで子育てのイロハを教えてくれた

産後の疲労＆初めての子育てに不安が爆発しそうな私に


「大丈夫！誰だって初めての事は怖いものよ」


と優しく微笑んで、その上でとにかく休んでいなさいと私を大層甘やかしてくれて本っっっっっ当に助けられっぱなしであった

夜泣きの時なんて私では遠く及ばないスピード感で対応しプロのスキルを見せてくれた



「沙夜子ちゃんは寝てなさい、あたしがイチャイチャしちゃうんだから！」




……………なんて……………もう惚れるしかないだろ…………！！！！！！！！！

ありがとうございました！！！！！！感謝してもしきれない……！！！


最後には「何か不安があったら連絡なさい！」とセクシーなキスマーク付の連絡先まで頂いて………女神ってこの世に存在したんだな………と真剣に思った





…………そして今は新たな拠点である山奥の1棟貸し切りのバンガローにて家族団らんの時を過ごしている



家族…………私達は夫婦という形の家族からまた新たな形の家族になったのだ



思い出すのは娘が生まれて1週間後の事


すっかり月が上った深夜2時を過ぎた頃、昼間は賑わうビーチから波音だけが響く夜

………そろそろミルクの時間だ………眠くて鉛のように重たい瞼をこじ開けて上体を起こすと隣のベビーベッドが空になっていた


「…………っ！！？？？」


驚きのあまり声を失い脱兎の如くベビーベッドに飛び付く





…………娘がいない……！？！？！？