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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第28章 大きな手








彼女は熱愛中の恋人とこのホテルに宿泊中なので気になる事があればいつでも連絡をと心強い言葉もくれた


………ランさん……本当に幸せそうだったなぁ………


恋人について語る彼女は本当に楽しそうで、私まで幸せをお裾分けしてもらった気分だ


「彼氏さん17歳ですって〜!めっちゃラブラブなんですって!」


以前よりもずっと縮まった距離に頬を緩めつつ嬉々と弾んだに


彼は興味なさげに「そう。」と呟いた




___________"





13:47



助産師さんことランさんのサプライズ登場の後私達はゆっくりと昼食を楽しみ、せっかくだからと海辺のベイエリアにやって来た

ずっとずっとペントハウスの部屋に籠もって大きなテラスから眺めていた楽し気な浜辺はどこか自分とは関係の無い場所のように思っていた

多忙な彼を想いながら寂しく眺めた真っ白な砂浜が、今はキラキラと別世界のように眼前に広がっている


此方の世界にやって来てから初のデートだ……!!!


久しぶりにバッチリのメイクを施して長く伸びた髪をポニーテールに、そして白いロング丈のTシャツワンピはシンプルながらクリーム色のスニーカーで合わせて地面を踏み締める

彼と海辺を歩くなら私も爽やか風に決めたいと張り切ってみたのだが、大好きな彼に少しでも可愛いと思われたくて唇には愛されカラーと謳われたリップを乗せた


大きなお腹で砂浜を歩くのは辛いかな……なんて思っていたけれど、ゆっくりと合わせられた歩幅で海沿いの遊歩道を進んでくれた

チラリと見上げた彼はそんな事微塵も考えていなさそうに涼し気に、その内に秘められた優しさに胸がキュンとする

不意に此方に流された視線、真っ黒の瞳が私に注がれた一瞬に身体はみるみる体温を上げた

猫目がちな瞳は何処か妖しく、その横顔の凹凸すら全ての線が美しい

スラリと高い鼻筋、薄く色付いた唇があまりに優しく名を呼ぶものだから私は慌てて視線を泳がせる

しかし、漂った先に映ったのもまた彼で潮風に流れる艶々の黒髪、そこから覗いた首筋に男性味を感じ胸がドキンと跳ねた

その間私がどんな顔をしていたか分からないけれど、慌てて返した声は随分小さなものだった






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