ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第28章 大きな手
あぁ……彼女は私よりもうんと人生の先輩で、一人の女性として格好いい人なのだと染々感じて
彼女と火花を散らしていた時はあんなに強敵に思えたけれど、それが味方になった事で生まれる安堵は相当なものだった
テキパキと後片付けを始めるランさんの背中を見詰めながら私の頬は無性に緩む
以前は腰迄ありそうに長かった髪が、今は肩のラインに揺れている
どちらにしても本当によく似合っていた
「ランさん髪の毛切られたんですね、今も凄い似合ってます!!」
「当たり前じゃない、誰だと思ってるの~?」
なんて言いながらも悪戯に笑うランさんの横顔
あの時もっと仲良くなりたかったと胸の内で込み上げた気持ちがありありと思い出されて私の声は嬉々と跳ねた
「私、また会えるとは思ってなくて……めっちゃ嬉しいです!」
「うふふ、相変わらずね。あたしもよ」
白衣の背中がフワリと翻ってランさんの華奢で長い指が私の髪を一束掬う
よく手入れされた指先にはランさんの妖艶で耽美な雰囲気に似合うダークローズのネイルが乗せられていて
「凄い寝癖ね、沙夜子ちゃん」
少し屈み込まれた事でぐっと縮まった距離に圧倒的美貌を受けて素直に見惚れてしまった
「うわぁ………美人………」
なんて、間抜けにも染々漏らしてしまったけれど、ランさんはカラカラと笑いながら「沙夜子ちゃんて本当素直な子ね」と、実に楽しそうに笑ってくれた
………………いや、本当に綺麗だけれど以前にも増して綺麗になっている
元の世界にも私より美人だったり可愛い人は沢山いるけれど、こんなに品と美貌を兼ねた人は見た事が無かった
そんな彼女が一層魅力的になったのは、やはり………恋……?
恋をすると女性は綺麗になると聞く……私は彼女に熱視線を送りながら心の声をそのまま漏らした
「……ランさん恋されてるんですか…?」
「……あら、やっぱり分かっちゃうもんなのね」
妖艶な彼女があまりにも無垢に頬を染めて睫毛を伏せる姿は、同性の私すら動悸を覚える程可愛かった