ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第28章 大きな手
装飾の白と彼のシャツが………そして控え目に開いたVネックから覗く鎖骨が………ッ!!!!
「ふぉっふふっー!!」
「うるさい。」
白……………白色とは彼の為に誕生した色なのかもしれない………
長い黒髪が……まるで宝石の様なオニキスの瞳が浮かび上がる様に印象を深めているではないか………
思わず朝食のガレットもガツガツ進む!!!
しかもTシャツだ
Tシャツ…………ッ其れすなわち…………彼の無駄無く鍛え上げられた逞しい腕があられもなく御披露目されている!!!!!!!!!
「きゃあああああっ!!イルミさん、いや!!イルミ様!!!カッコいい………今日も麗しくて……っもう……!鼻息荒くなりますわ!!!」
「食事中だよ、汚いよ。」
彼は不快感を隠そうともせず端正なお顔を歪めた
しかしそんなちょっと眉間に皺を寄せたくらいじゃ私には全然可愛く見えるのだ………!!
なんて絶好調だった私だが
「すみません、……んふんふふふ」
「気持ち悪い笑い方だね。」
本気で目力を込められてしまっては口を閉じざるを得なかった
彼はとてもクールな人だ
そして私は打たれ強い
そろそろ鬱陶しいノリを終わらせろ、と呆れ混じりの圧を掛けられたのでイルミ様崇拝タイムを速やかに切り上げた私は、彼に惚れ惚れしたままぼんやりと聞いてみた
「………そう言えば何時から検診とかわかります……?」
「多分10分後くらいじゃない。」
「えっ?!」
一気に現実に引き戻った
呆気に取られて間抜けな声が漏れた訳は、まだ起床間もない寝起き顔、ボサボサの頭でワンピースタイプのマタニティーパジャマのままだったからである
そりゃそんな姿でニヤニヤ叫ばれては気持ちも悪いだろう
メイクは通院中にもまちまちだったしどちらでも良いかと思うけれど、人様に会うのに最低限の身支度も整っていないだなんて……
「えっ………!ヤバ!!」
急遽平らげてしまわねばと気持ちは焦る、しかし
「ゆっくり食べないと妊娠糖尿病になるよ。」
静かな視線を浴びながらピシャリと放たれてしまえば、最もな指摘にひたすら咀嚼を繰り返す
とりあえずこれを飲み込んだら行儀は悪いが朝食を中断して身支度を優先しよう………