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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第26章 私達の扉






光に吸い寄せられるように只彼という存在を目指した私が一般人には無茶な危険を犯していたのだと実感したのは、それこそ彼と共に安堵するアパートへ戻ってからの事で


思い返せば……歩行禁止の山を越えたり、スキーに行った筈が遭難し掛かったり、飛行船の窓を開いた事もある

賞金稼ぎに命を狙われた後には崖から大胆なダイブを決めた

今考えてみると彼と喧嘩した事も中々だと思えるけれど……

それこそドラゴンや光る木、氷の街なんてファンタジーが実在する場所で、時にはオバケと泣き叫びながら対談したのは刺激的な経験だ


今の私の胸にはそんな目まぐるしくも楽しかった思い出と共に恐怖もある

それはきっと大きく育ったお腹が私を少しずつ成長させているからで

それでも私は馬鹿みたいに騒ぎながらも楽しく過ごせるだろうと湧く確固たる自信は

そんな私達を彼が必ず守ってくれると心の底から思えるからだろう

これから私達はもっと賑やかになる


結局私は単純なのだ


彼が私を選んでくれたその日から私は彼となら共に何処までも行けると強く思った

ごちゃごちゃと考えているけれど私の胸に最後に残ったのは恐怖や不安では無く、彼へと向ける膨大な想いと未来への希望なのだ


暫しの別れを告げる部屋を振り向けば静まり返った其所には彼よりも小柄な影が大きなお腹で寄り添っていた



「さ、行こうか。」


涼やかな声に誘われる様に顔を上げると彼は長い睫毛を僅かに伏せて真っ直ぐに私を見詰めている



「はい!!」



うるさいくらいに元気な声で返事をした私は心の中で部屋にお別れを言いながらも実に晴れやかな気分で異世界へと進み始めた



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