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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第26章 私達の扉






07月21日



築年数53年、ボロい…………レトロで赴きのあるアパートには蝉の声が良く似合う
更に夕焼けの西陽に染められてしまえばセピア色に染まって

軋む床に色褪せた壁紙

一部屋一部屋インテリアは違ってもアパートを包む雰囲気は束の間のノスタルジックを漂わせる


しかし、私達の部屋には他のどの部屋にも無い扉が佇んでいた



「準備はいいね?」


真っ直ぐに扉と向き合う彼は飄々と落ち着いた声を落とす

ずっと追い掛けて来た頼もしいその背には私がこれでもかと詰め込んだ大きなリュックサックと親方の姿

床に伸びる長い影を辿る様におずおずと隣に並び立った私は未だ身体を震わせる緊張を隠さぬままに笑った


私の生まれ育った世界での一年はあっという間に過ぎて行った

このままじゃ瞬きしている内にお婆ちゃんになるんじゃないかと思うほど一瞬で、それでいて全てが充実していた時間は終わりを迎えたのだ


次は私が彼の世界へ行く


まだまだ未知が広がる彼の世界

彼が暗殺者の顔を覗かせる世界は特別力を持たない私には恐ろしい場所

無謀にも彼を追い掛けて一歩を踏み出したあの頃の私はその先に何が待っているかなんて考えていなかった




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