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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第25章 運命のその日







情事の終盤なんて意識朦朧の真っ只中だ

全く何の判断も出来ないなんて事は無いだろうけれど記憶すらあやふやで

勿論私は彼との未来を強く望み、彼もまた望んでくれているからこそ私は安心して頷いたのだろうけど

本当に大切な場面を微塵も覚えていない事が悲しくて

そしてもし彼の言うとおり本当に授かっているのだとしたら私にはまだ何の心構えも出来ていない………


だけど彼の言葉で気が付いたのは近頃体調が優れず怠い日が続いていた事や異常な程の眠気


そして生理が大幅に遅れている事だった


私は元々周期が乱れがちなので遅れているなぁ……くらいにしか思っていなかったけれど………


私が今抱えているのは驚きと漠然とした不安と戸惑いだ


……望んでいた未来が鮮明に見えた筈なのに尻込みしてしまう


きっと私はそれだけ子を授かり、生み育てるという事に責任感を抱いている

こんな私が一人の人間を育てる

そんな立派な事を成し遂げられるのだろうか……?

無事生まれてくれたとしても二つの世界を行き来する私達……特殊な環境で育てる事になる

私はしっかりとした母親になれるのだろうか


唐突に突き付けられた膨大な責任を前に不安ばかりが募る



その瞬間を事前に知っていたなら

頷いたその時を覚えていたなら


…………あぁ、回り回って自分自身に腹が立つ




「私いっつも意識飛びかかってるんですよ!!!!何でそんな大切な事そのタイミングで聞いたんですか!!!!私覚えてない!!!」



「……………。」





大きな声を狭い室内に響かせてから再びグッと唇を閉ざしたのは

私を真っ直ぐに見詰めていた彼の瞳が少しだけ動揺に揺れて見えたからだった





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