ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第4章 儀!!
…………しかしまぁ………そこに図書館をチョイスする彼が可愛いな………
様々なジャンルの取り揃えに感心していたし以前は一人でもよく通っていたみたいだし情報収集には便利な場所だと思っているのだろう
私が暇潰しに、とプレゼントしたのも図鑑だった事から本からの情報は彼にとって実りある物なのかも知れない
隣を並び歩く彼は時折繁々と何かを眺めている
平凡な街中にもまだまだ彼の未知は広がっているのだろう
「どうしたんですか?」
じっと何かを見詰める横顔に声を掛ければ彼はクリクリと大きな瞳で私を見下ろした
好奇心に揺れる瞳は無感動な表情をあどけなく見せて、徐に開いた唇は実に可愛い台詞を紡ぐ
「前々から気になっていたんだけどあの赤いのって何なの?」
「あれは郵便ポストですよ!」
彼が言う赤いのとは道端に立っている郵便ポストだった
私達からしてみればいつ用途を知ったのかもわからないくらい当たり前の物
だけど彼からしてみれば何の為に其所にあるのか不思議な物だったのだ
小さな声で「郵便ポスト」と繰り返した彼に「少し見て行きましょうか」と提案すれば端正な横顔はコクリと頷いた
書かれた文字を静かに辿る彼を眺めてから私は真っ青な空を見上げた
……きっと彼は以前にもポストを見ていたに違いないのに私はそれに気付かなかったんだ
彼はいつでも無表情で淡白だけれど大きな瞳や弓なりな眉の僅かな動きに感情が見える
いや、一緒に時を過ごす内に少しずつ感じ取れる様になったのだろう
なんて重ねた日々の幸せを染々と感じながら再び向けた視線の先
投函口に指を突っ込んでいる彼の姿に吹き出してしまった
「……もういい。」
なんて少し拗ねたみたいに呟く彼を覗き見る
「今度お手紙でも出してみましょうか!」
「……別に沙夜子が出したいなら。」
「是非そうしましょう!」
些細な事が彼となら全て楽しく色付く
「ちなみにあれはお弁当屋さんです!」
「知ってるよ、馬鹿にしてる?」