ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第4章 儀!!
7月のある日
私達は彼の希望で図書館へと出向く事になった
ゆっくりと歩いて行こう、なんて嬉しい提案にスニーカーは楽し気な音を鳴らす
ジリジリと焼ける様な太陽とわたあめみたいな雲の下、何でもないコンクリートの道が続く
平日の昼間だからか住宅街は人も疎らで私達はセミの賑やかな声を聞きながら歩いていた
「……沙夜子の世界のセミはうるさいよね。」
通りすがった公園に目を向けてポツリと漏らした彼の視線を追って見れば
立派な木にびっしりと張り付いた昆虫の姿にブルリと肩が震えた
「鳥肌立った…………何か特に関西のセミはうるさいらしいです」
「ジャポン、じゃなかった……日本は世界地図で見ても比較的小さな国じゃなかったっけ、それでも地域性なんてあるんだ。」
「小さい島国やけどセミの鳴き声が変わるくらいにはあるんですよ」
「ふーん。」
特に興味無さ気な間延びした声
彼が私の世界で過ごした時間は約一年
その間彼は漢字をマスターし、地図を知り星座や動物迄沢山の事を知ったけれど
まだまだ知らない事で溢れている
今朝も彼はニュース番組を食い入る様に見ていた
何かに興味があると言うよりは状況に慣れ、把握したいという行動に見える
図書館に行こうと提案したのも未知で溢れる世界を熟知したいという好奇心なのではないだろうか
職業柄なのか強いて言えば情報収集が趣味と話した彼の知識欲を満たせるのならそれに越した事は無い