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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第22章 美景




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私達は結局クロロさんの仮住まいである高層マンションへやって来た



あの後クロロさんは雨に濡れる彼をそのままに再び歩みを進め、他愛ない話を再開したけれど私はそれどころでは無かった

私達から半歩程遅れた後方を歩く彼が気になって気になって仕方なく、何度も振り返ってみたけれど

目が合ったのはたったの一度きり………


明るいエントランスに到着して漸く口を開いた彼は正しく不機嫌だった

自身がびしょ濡れなのも他所に私の顎をガシリと掴み上げると闇色の瞳を目一杯見開いた


「………随分と楽しそうだったけど沙夜子はどうしてクロロに付いて来てる訳?」


「ごめんなさい……………えっ………と………イルミさんにはクロロさんから連絡が行ってるものと………」


「そんなもの俺達が取り合う筈無いだろ。」


「………えぇ…………」


「わかったよ、沙夜子は誘われれば誰にでも付いて行くんだ。」


「……っ違います!!私イルミさんに確認しようとしましたし!」


「結局確認は無かったけどね。」


「……………ごめんなさい」


「……二度目は無いからね。」


「はい、すみませんでした………」



彼は不機嫌に違いないけれど呆れていると言った方が正しい


本当に誘われれば誰にでも付いて行く馬鹿だと思われてしまったのだろうか………

彼からしてみればそうに違いない

元はと言えばクロロさんが!なんて言い訳がましく人のせいにした所で私が騙されているのだし

………騙された方が悪いなんて思わないけれど

彼の性格を理解しているなら安易に取ってはいけない行動で
クロロさんを警戒していなければいけなかった筈だ

多分私は警戒心に疎い人物なのだろう

でなければ、そもそも彼がアパートへやって来たあの日からの日常は始まらない

だけどそれを言い訳にして過ちを繰り返してしまっては、勝ち取った信頼をいつか失ってしまう


今の彼を見る限り、嫉妬心等は感じない

ただ、独占対象である私が自分の管理下から無断で出た事への不快感や呆れ……

彼が心を閉ざしてしまったなら二度と此方を向いてはくれないだろう


そんなのは嫌だ………


どうか見捨てないで欲しい…………





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