ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第21章 秋雨の時に
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すっかり消された室内灯
部屋に響くは雨粒が弾ける音と私の鼓動だけ
いつの間にやら奪い取られた衣服は床に転がり
私は彼の言葉に抗う術を持たずに懸命な愛撫を続けた
その合間にも大きな手は私の身体を撫で上げて確かな快感を与えて
気が付く頃にはフワフワと覚束無い思考を抱えたまま私だけが息を上げていた
彼を求める気持ちと知ってしまった欲望、そして羞恥がせめぎあい全てが鼓動と共に身体を巡る
丸裸にされてしまった私とは対照的に彼は上半身を露にしたに留まっていて
胸の先を緩くつまみ上げられながらも彼の横腹に不器用に舌を這わせていた私は甘ったるい息を吐いた
「ねぇ、いつまで焦らす気?」
呼吸のひとつも乱さずに単調に降ってきた台詞
私の髪をやんわり撫でて滑る様に顎を持ち上げられてしまえば交わった視線に胸が大きく跳ねた
脳迄犯す様な色香を漂わせながらも何処か冷たさを含む端正な顔は余裕の表情を湛えて私を見下ろしていたのだ
彼は美しい
そんな事は百も承知の揺るぎない事実
そして本当に幸運な事にその美しい暗殺者に愛されたのは何故だか何の変哲も無い私だった
初めて身を結んだあの日、私は初めて彼の体温を知り、初めて彼の汗の滴りを知った
いつも飄々とした彼が実は情熱的な愛情表現をするのだとか
言葉では無く心迄抱き締めてくれる温かさはきっと身体を重ねて初めて知った事だ
しかし私が初めて知ったのはそれだけでは無くて
人間の本能に眠っていた愛欲や彼に触れられる快感
彼の黒々とした瞳には隠す素振りも無く雄の本能が揺らめき
その視線すらも私の身体を疼かせて
自分の知らなかった自分がまるで操られる様に彼の下半身へと手を伸ばした
緩く腰を持ち上げた彼の仕草に指先が震える
ズボンと下着に汗ばんだ手を掛けてスルスルと引き下ろしながらも私は羞恥と欲望の狭間でどうにかなってしまいそうだった
行き場を無くして床に落ちたままの視線の端に私が剥ぎ取った筈の彼の下着が見える
私だって遠い昔に素肌を晒されみっともない裸体を彼に見せている筈だ