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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第20章 食事の合間のお喋りは







「パスタじゃなくて子供!!!」


「子供なんてメニューは無いよ。」


「メニューじゃなくて子供の話です!!!!」



怖いながらも真相が知りたくて騒ぐ私だったが途端にスッと細められた妖しい瞳に射抜かれて押し黙った


メニューを緩くテーブルに放って垂れた髪を気だるくかき上げた彼は一瞬にしてむせかえる色香を漂わせたのだ


不穏な手付きでメニューの縁をなぞる長い指先

ニヤリと不適に歪んだ唇から普段より低い囁きが紡がれる



「随分大胆だね……沙夜子がそんなにせがむなら今夜にでも作ろうか?」



……………私の頭はクラッシュした


指先まで響く脈、脳が痺れた様にピリピリと酔わされる


目の前の彼は本心を語っていると言う様に私を見詰めて金縛りみたいに身体が動かない



私はオバケの真相を確かめている筈だった


…………………子供……………子供って………………………………私は何の話をしていたんだっけ………………


辺りの喧騒が遠い


薄い唇が再び開いて余裕綽々な声色が耳に流れた



「ま、別に今すぐじゃなくても沙夜子がその気になればいつでも言ってよ。」



クスリと小さく落とされたイタズラな笑み


酷く愛欲的でありながら慈しみが入り交じった声

彼の視野の中には既に私達が子供を持つ事も入っているのだと伝えている様で

感動なのか何なのかかわからない感情が溢れ出した


……………そうか……私は当たり前の様にそんな未来を望んでも許されるのか……………


私と…………彼の子……………



何故かグラスを持つ手が震えている




………………………えっ…………めちゃくちゃ震えている………………




「……………!!!」


「アルコール依存の症状だ。」


「違いますよ!!だってイルミさんがいきなり……!!」


「俺が何?」


「…………っ………いきなり結構重要な事言うから………びっくりして………」


「…………。」


「凄い……………嬉しい………です……」


「あっそ。」


「でも!あの………すぐには……ちょっと!!その……いや!欲しい!!欲しいけど………あの………」



何だか泣きそうだった


言葉にして"嬉しい"という感情を漸く理解したのだ





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