ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第20章 食事の合間のお喋りは
「工程の異なる西洋式の物を日本人がどの様に造り上げたのか興味があったんだ。今まで見てきた建築技法とも違っていて中々面白かったよ。」
「イルミさんは私の見てへん所まで見てたんですね」
「沙夜子だって俺の見ない所を見てるじゃん。」
「いやいやー私は……」
緩く首を振る私をそのままに悠々とグラスの中身を飲み干した彼はワインボトルを傾けながら続けた
彼の言う違う視点とは私があの洋館で特に気に入った窓からの景色だった
少し薄暗い洋館の窓からはこれでもかと太陽光が差していた
日光浴を楽しむ様に置かれた日に焼けたエレガントな椅子、そして白い窓枠から見える美しく揺れる木々はまるで別世界を見せる様に鮮やかで、絵画を飾っているみたいだと私は思ったのだ
額縁みたいな窓枠から見えた揺れる木々が生き生きとしていて私はその様子を淑女気分でうっとりと眺めた
「俺には興味がない。」
「えーめっちゃ綺麗やったじゃないですか!」
「あのね、絵画みたいだなんて言われても窓は窓だし理解出来ないんだよ。」
「………うーん、インスピレーションですよ!!………こう、想像力で!!」
「無理だね。」
空になった私のグラスにトポトポと音を鳴らしてワインを注ぎ入れてくれた彼は実に無感動な瞳で私を見ていた
技術や技法………形ある物の仕組みを知りたがる彼と逞しい想像力に夢幻を見る私
同じ場所、同じ時に同じ物を見ていた筈なのに感じ方も見ている物も全く違っているなんて不思議で
それでいて何だか心地好い
私達は根本的に全く違う思想を持っている人間だからこそ惹かれたのだろうか
「でもちょっと怖かったですね……何であんなん書くんやろ……」
「デタラメだろ。」
「私何か出たらと思ってビビりましたよ!まぁ何もいませんでしたけど!私が言うので間違いないです!!」
「馬鹿じゃないの。」