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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第20章 食事の合間のお喋りは







気分は大正ロマンのモダンな淑女…………


入館料400円のチケットを受け取れば直ぐに見える立派な建物

茶色に白枠が既にキュートなそのホテルは、本当にもう廃業しているのかと疑いたいくらいに綺麗なまま形を残していて

アーチ状の窓に繊細に施された白枠、赤い屋根がまた何とも可愛らしく乙女心が擽られた



私はタイムスリップする様な気持ちで洋館へと足を踏み入れた


今でも間違って使ってしまいそうに綺麗なトイレや、日本には珍しい猫足の可愛いバスタブ

立派なシャンデリアが壮観なフロントも素敵だったが当時をそのまま残した客室には暖炉があったりして

レトロながら隅々迄行き届いた緻密さに当時の技術の随を見た気がした



ホカホカと湯気を上げるアヒージョを熱さの欠片も無く平然と頬張った彼は淡々と言葉を紡ぐ


「木造って日本の伝統と西洋の文化がどう共存しているのかと思ったけど、流石って感じだったね。」


「あちち…………っ流石……?」


彼を真似て熱々のアヒージョを頬張りながらも意味を理解し切れずに見詰めれば

彼は少し間を置いた後に再び唇を開いた



「最初に京都へ行った時に清水を見て思ったのだけど、釘を使わず組み木って技法であれだけの建築が出来るのは日本人という種族が器用さや繊細さで秀でているのだろうと思った。」



……………どうやら彼は私が思っているよりもずっと真剣に観光を楽しんでいた様だ


私の希望で選んだ洋館


しかしながら私には少し引っ掛かている事があったのだ

本格的な西洋式建物に囲まれて育った彼からしてみれば日本人の真似事等つまらないのでは…………?

本格的な和を知る私が海外でわざわざ和室や日本庭園を眺めるだろうか………

それはそれで私としては楽しいけれど、只でさえ上等な物を見てきたであろう彼が果たして楽しめていたのか………なんて事は杞憂に過ぎなかったらしい

そして、彼が淡々と語る台詞は何故歴史的建造物に興味津々なのかという彼自身の趣向にも携わる物だった



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