ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第20章 食事の合間のお喋りは
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18:47
私達はイタリアンレストランにて夕食を堪能していた
恵まれた風土から日本屈指のワイン産地である長野県
そんな地元のワインを多数取り扱い、食材も長野産の物を多分に扱う此所はその地域の物を存分に堪能出来るレストランだ
勿論そんな所に惹かれたのは間違いないが実の所、店内の風貌も個性的で私の好奇心を擽った
今は使われていない駅のホームがレストランになっているのだ
店内にはその名残を残す様に黄色い点字ブロックが敷かれたままになっていて
私達が選んだテラス席なんてのはフェンスに囲まれたホームに木製のテーブルが並べられた駅の雰囲気満点の場所だ
日も暮れて随分と気温が下がった
暖を取る様に真っ赤なアルコールの注がれたグラスを持ち上げる
丁寧な説明を受けた中から選んだ一本
グラスを傾ければ程良い酸味と甘さが喉を通り過ぎた
「……………はぁ………今日も一日楽しかったぁ」
天井から吊るされた照明を仰ぎ見ながら染々漏れた声
彼はそんな私に視線を送りながらも上品な所作で唇を付けたグラスをテーブルに置いた
「朝のパン最高でしたね!」
「あっそ。」
「ホテルも最高でした!」
「彼処は良かったと思う。」
鮮やかに蘇るは昼間の記憶
私達が訪れたのは旧三○ホテルという洋館だった
希望したのはこの場所に一目惚れした私
純西洋式木造ホテルなのだが純西洋式でありながら設計、施工が明治後期には珍しい日本人によるものということで、とても貴重な建物だ
その為、今や国の重要文化財に指定されているが、かつては"○井沢の鹿鳴館"と呼ばれて数多くの政治家や文化人、財界人が宿泊していたのだとか
日本がまだ元気だった良き時代……文明が開化した明治から大正の面影を多分に残した建物が110年もその場に在り続けているなんてロマンを感じた