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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第20章 食事の合間のお喋りは






彼が私の両親に向かい交わした挨拶や台詞……プロポーズされたあの日や式を挙げようと決めた日……彼との全てを心の中でなぞる


彼はいつでも冷静で私なんか比べ物にならないくらい頭が良くて

そして誰より慎重な人


そんな彼が私を選んでくれて

何より大切だと話していた家を置き去りに私の世界迄着いて来てくれたのだ

それが私には何よりの決意表明に思えた


以前の私に絶対的に欠けていた彼との未来を彼が導いてくれている

これからも未来永劫続くのだと日々感じさせてくれている


彼の面影を残したくて形ある物を欲していたあの時と今はまるで違っていたのだ


少しヒヤリと冷たい風が頬を撫でて大好きな黒い髪がサラサラと眩しく流れる



「私ね、食べるの好きなんです!」


「知ってるけど。」


「特にイルミさんと食事してるのが大好きなんです!」


「どうして。」


「美味しいから!」


「……まぁ、何でもいいけど。」



彼と他愛ないお喋りをしてこそ初めて食事の味がするのだと取り残されたアパートで、帰りを待つホテルで何度思ってきただろう……

彼は私の手料理をよく褒めてくれる

それがどれだけ特別で素晴らしい事だろう

未知の食べ物に遭遇してクリクリ大きくなる瞳が大好きで仕方がない


「私ダイエット中ですけどね!」


「嘘じゃん。」



形ある物にすがらずとも重ねる時間があれば今の私には贅沢過ぎるくらい幸せなのだ





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