ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第20章 食事の合間のお喋りは
前方には既にお客さんが数名並んでいるし人気店に違いない
私はグルグルとはしたなく鳴るお腹を強めに擦って誤魔化しながらも数ある中から2つを選び抜いた
正直、苦渋の選択だったがまだまだこれから食べる予定があるのだ
後ろ髪引かれながらもレジに向かう彼の隣で小さくお礼を伝えていると
店員さんに「店内で食べられますか?テイクアウトでしょうか?」と聞かれて私は咄嗟に彼を見た
涼しい横顔からチラリと落とされた視線が無言のまま選択を促している
「……イルミさんは……?」
「別にどっちでもいい。」
「じゃあテイクアウトでお願いします!」
_________"
私達はテラスに沿う様に流れている湯川を眺められるベンチで朝食を取った
マイナスイオンたっぷりだしピクニック気分で素敵には違いなかったが
流石は避暑地………ニットでも少し寒かった………
水辺だから余計に冷えたのだろうけど冬になれば雪が降る地域なんだな、と染々感じた
私が選んだのは○州りんごのアップルパイとルヴァン、アップルパイはジャム状のとろとろ甘酸っぱいリンゴが詰まっていて絶品で
ルヴァンはチェリートマトとクリームチーズの味がしっかりと味わえる大満足の一品だった
彼はチーズクッペとクイニーアマン、旬の野菜カレーパンを上品に完食した後に一口含んだコーヒーを少し褒めた
「悪くない味がする。」
………これは多分期待よりも美味しかったに違いない
「パンも美味しかったですか?」
「コンビニよりはマシだね。」
「えー………!それだけですか」
「うん。」
コンビニは全然悪くない、寧ろ目まぐるしい進歩に日々感謝しか無いがベーカリーで買った焼きたてパンの感想にしては味気無い
やはり高貴なお方のお口に合う食材は中々無いのだろうか…………そんな事言われてしまえば車中で自炊している私の料理は本当に大丈夫なのかと心配になるが今は考えない事にして…………
私は放っておいてもうるさいタイプなので勝手に食レポした
たった2つ食べただけだが風味の強さから味付けが濃くて大変好みだった
……………まだまだ食べたいパンがショーケースの中にある……………
「……………あの………ここのパン屋さんってチェーン店ですか………?」