ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第19章 彼と私のヒトコマ
急な展開に頭は混乱し爆発しそうに高鳴る胸
熱のある私より体温の低い彼の舌先が器用に歯茎をなぞって酸素さえ奪われる
固定するように耳を塞がれて脳内に痺れる様な淫靡な水音が響きチカチカと眩暈がした
私の熱を奪う様に隅々まで味わっても尚離れぬ彼
雄の本能をちらつかせる目と目が会えば全身の肌が粟立って震える
息苦しさからもがく私を容易く抱き込む彼は生理的な涙が頬を伝う頃、漸く唇を離した
ぐったりと力を失い、はぁはぁと肩で息をする私は一体全体何が彼のスイッチになったのか理解出来ずに
しかし与えられた甘い口付けに彼を知った身体は熱を上げていた
私に跨がったまま悠々上体を起こした彼はわざとらしく唇をペロリと舐めて見せてまた意地悪に笑う
「おはよう。」
アヒルちゃん柄のブランケットにくるまっていた可愛い彼と本当に同一人物なのかと見間違う
未だ危険な香りを漂わせる彼に荒い呼吸を抑えながらも返事を返せば
彼は私の背中に腕を回して私をゆっくりと抱き起こした
ふわりと鼻を抜ける大好きな彼の香り
ドキドキと耳にもうるさい自身の鼓動
しかし彼はやんわり私から離れると
「ブランケットを持って助手席においで。」
と、優しく微笑み大きな手で頬を撫でた
早まった鼓動が収まらない
たった数分の間で目まぐるしく変わる彼の素顔
しかし全て本当の彼だ
きっと真っ赤に違いない顔をそのままにのそのそと助手席へ移動する
彼はいつだって何を考えているのかさっぱりわからない
だけど
「今からビーナスライン走るよ。」
「………え!!!中止って……」
「ドライブコースだから車から観光だし問題ないと思って。」
「やったあ!!!ありがとうございます!イルミさん!!」
「別に。」
彼から伝わる愛は確かに本物だ