第19章 彼と私のヒトコマ

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彼は優しい人だ


体調の悪い私の為に沢山の食べ物を用意してくれた

本当にびっくりするくらい大量に

しかし彼を責めるなんて事は出来ない

彼は少し浮世離れした不思議な人だが根底に愛を持つ紳士


食品の数はそれだけ彼が無表情の下で私を心配してくれている証拠で

普段見えない分目に見える形で伝えられると照れてしまう


しかし………全て食べ切れるだろうか………？

彼は随分私を食いしん坊だと思っているらしい

まぁ、全く間違いではない所が私クオリティーである


お腹を擦りながらも沢山食べる鉄則は早食いだ！と、大食い選手権に出場している気分で挑む


残したらヤバそうなヨーグルト、既に湯を注がれたスープとお粥、とにかく捨てる事に成らないように考えた

せっかく大好きな彼が私の為を思い購入してくれた品々

つまり私は今、彼の優しさを食べていると言っても過言ではないのだ

絶対に彼の気持ちを無駄にしたくない一心でがっつく私


正直謎タイミングで体温計測を促された時は驚いてしまったが


私の楽しみにしていたパンを黙々と食べた後に普段食レポらしき事を一切言わない彼が微妙に細かい感想を口にした時は更に驚いた


…………わかっている余るだろうから食べただけなのだろう事は

数度ポロリとパンの事を呟いてしまったけれどわかっていたから私は代わりにバナナを食べた