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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第19章 彼と私のヒトコマ







朝食用に備蓄していたパンは彼女の分だけが残っている

日保ちに向かない惣菜パン、彼女は別の物を食べているのだから廃棄になるだろう

少々感じる胃の空き具合からそのパンを自身が食べる事にしたのだがオカユを平らげてバナナを手に取った彼女は途端に大きく目を見開いた



「………私のパン」


「沙夜子は駄目だよ、消化に悪い。」


「楽しみにしてたパン…………」



彼女は別段食べると騒いだりせず眉を下げて悲しそうにバナナを噛った


どうやら全て食べる気でいるらしい

どれかひとつでも可能ならと思っていたが本当に凄い執着だ


他の物を食しながらパンを欲するとは……更にパンひとつでこれ程感情を揺らす人間が存在するとは思わなかった

自身はそもそも日本の食文化に明るく無い

酷似したジャポンの料理にすら少々疎い所がある

異世界なのだからその未知は格段なのだが

彼女は自身の世界にて焼きたてパン等に特に食い付く傾向があった

今やパン屋じゃなくコンビニにも並んでいるパンだが、日本の歴史としてはまだ浅く
彼女自身も成人してから初めて口にした食べ物なのかもしれない

頬袋を作ってパンを噛っている彼女の姿をぼんやり思い出しながら何処か納得する自身がいた


食いしん坊な彼女の事だ、自身が羨ましかったのだろう

せめてどの様な風味だったかくらい伝えてやった方が良いかもしれない



「ツナと玉子とマヨネーズの味だね、まぁ悪くないよ。」


「………っふふふふそうなんですね!」


彼女が笑うとフルーティーな香りがした





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