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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第19章 彼と私のヒトコマ







高い高い山に登り優雅な朝食を取りわさび農場では周囲を騒然とさせるスーパー泣き怒りを披露した

その後買った生わさびを使っての夕飯作り

わさび茶漬けは新鮮さが際立ってツーンと刺激的で非常に癖になる一品だった

それからガイドブックとネットを開き今日の観光について緻密(彼のみ)な会議を開いた

私はまだ見ぬ新たな土地に胸踊らせていた筈が

まさか自分のせいで中止になってしまうなんて

確かにこんな調子じゃ何処へ行っても目一杯楽しむ事は難しいけれど………


何だか悲しくなってきた…………


私は自業自得だが彼まで巻き添えだなんて……いや、一人置き去りにされて観光とかされたら泣いてしまうが

彼には本当に申し訳ない

昨日は好奇の目に晒し、今日は強制中止だなんて


私が昨夜膨らましていた脳内妄想では楽しくワイナリーを散策する私と彼の姿があったのに……かくも現実とは世知辛い


ブランケットの端を無意味に弄りながらも深いため息が漏れた


………しかし喉のイガイガも無ければ鼻がグズグズする訳でもないな………

彼は私を病院に連れて行く気らしいけど果たして本当に必要だろうか………?


一際大きく揺れた後に停止した車


彼はシート越しに此方に振り向くと言葉を紡いだ



「これから必要だと思われる物を買ってくる、沙夜子はとにかく寝ていればいい、解ったね。」


「………えっと……私歯磨「病人が食べるべき物って何。」


「……あの、トイレ「まぁいい、調べる。」


「すみません!私トイレ行きたいんですけど!」


「それは朝食の後だ、我慢して。」


バタンと閉まった扉とロックの音

思わず上体を起こして叫んだ私だが

彼の姿は窓の外、颯爽と小さくなった



「……………えっ……?」



理解が出来ない………………何故今では駄目なのだ………?


もし漏れそうだったらどうしていたのだろう……そこでしろ、とか言う気だったのか………?

幸い尊厳を失いそうな程ピンチではないもののやんわりと尿意がある

何故病人だからという理由で排泄まで制限されているんだ………?

寧ろ身体の老廃物なのだから出した方が良いのでは…………?



私の頭はクラクラしながらも沢山の疑問符で一杯になっていた


彼が何をしたいのかさっぱりわからない……………




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