ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第19章 彼と私のヒトコマ
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身体に振動を感じて目を開けば何故か車窓には景色が流れていた
「………?」
隣には抜け殻になったブランケットとキッチリ畳まれた彼のスウェット
何時もなら二人同時に起床して拠点とした道の駅で朝からお野菜なんかを見て回る筈なのに
霞んだ視界に映る彼の姿は運転席にあった
身動いだ私の気配にルームミラー越しに寄越された大きな瞳
「おはよう。」
「………おはようございます」
緩いカーブに纏められたカーテンが揺れる
「…………何処行くんですか……?」
ガタガタと揺れる車内に寝転んだままで申し訳ないが素朴な疑問を口にした私に彼は淡々と唇を開いた
「沙夜子が発熱してるから今日の行程は中止、今からコンビニに行ってその後病院に行く。」
「…………えっ!!」
「異議は認めない。」
「私元気ですよ………!!」
突然通達された言葉にガバリと上体を起こした私だがその勢いと揺れる車内にクラクラとして窓枠に頭を打ち付けマットに沈んだ
「…………っ………」
頭が痛い……物理的にも痛いが頭痛がする…………
更に風邪の時特有の身体のダルさ迄ものの数秒で実感した
彼の言っている事は本当だ…………
「馬鹿やってないで大人しく寝てな。」
悠長に紡がれる間の抜けた声に言い返す言葉も無く、もそもそとブランケットを手繰り寄せた
熱があると意識してみると徐々にダルさが増している
私は全く元気では無かったのだ
まさか新婚旅行の旅先で体調を崩してしまうだなんて思っても見なかった………
せっかくの1日を無駄にしてしまうと思うと私はすっかり落ち込んでしまって昨日の記憶を振り返る