ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第18章 変わり行く心模様
彼と作る素敵な思い出は私達夫婦の物で……名前も知らない見ず知らずの彼女達が簡単に彼の形を手元に残す事は絶対に嫌だった
彼を見詰めていられるのは私だけ……なんて我が儘な独りよがりかもしれない
モヤモヤと不安や嫉妬が交差しながらも懸命に葛藤していた私を彼は笑った
「…………………………っ!!!」
只でさえ煮え滾っていた怒りは冷静さを欠いて見事な方向転換を見せる
「もうっ!!!!何笑ってるんですか!!!」
体内が爆発しそうに激しい苛立ちに彼女達をそっちのけに私は叫んでいた
しかしながら怒りはおさまらず何故か悔しくて地面に八つ当たりする様に地団駄を踏む内にも彼はすっかり先程の事等無かった様に涼しい顔で傍までやって来た
もう私には周り等見えていなかった
先程激昂していた彼女達の存在すら影も無く、私の怒りの矛先はすっかり彼へと早変わりしてしまって
その場に留まっている事すら気に入らない感情の暴走に飲まれた
背後から上がった「こわぁい」なんて不愉快な声すら耳に入らず
私は地面を強く踏み締めながら歩き出す
目的地なんてない!!!!!!
もう何処でもいい!!!!!!
とにかく激しく入り乱れた感情の渦はどんどんと膨れ上がりじっとしている事すらも儘ならなかったのだ
考えてみると彼が盗撮の気配に気付かない筈が無いじゃないか
目隠しをしている状態ですらスマホの気配に瞬時に気付いた過去
私すら気付く素人も素人の彼女達の盗撮なんてお見通しも良い所の筈なのに…………!!!!!
「沙夜子。」
いつもならキュンと胸を高鳴らせる声にすら反応する余裕は無く
荒ぶった感情は簡単にはおさまらず逆に時間の経過と共に次から次に溢れ出して止めどない
「イルミさんやったら盗撮されてるん気付いてましたよね?」
「まぁね。」
(……………あぁ……………やっぱり………やっぱりそうじゃないですか!!!!!)
間延びした彼の返答に無性に涙が込み上げた