第18章 変わり行く心模様

多分考えていたのは数分



私はある事に気が付いた



彼は確かに他者の干渉や接触を嫌っていた

無言の圧を放ち近付く事すらも許さなかった



だけど……………決定的に違っていたのはここが彼の世界であるか否かだった……………


彼がキツい物言いをしたり物騒な手段を使っていたのはあくまでも彼自身の世界での話し

此方で接触して来た他者に危害を加えたのは運悪くも私をナンパした男性に対しての一度きりだった


私の世界では様々な所に出掛けて思い出を作り、更には集団行動が苦手と知りながら北海道ツアーに参加した事もある

そして日常的な私の言動や日々流れるニュース番組

彼は危ういながらも私の世界で迂闊に物騒な真似をしてはならないと理解してくれているのだ………



モヤモヤとした嫉妬心や独占欲が消える事はない


だけど少し冷静になった私は少し胸が軽くなった気がした





多分彼女達の態度から無視を決め込んでも更に絡まれるだけだと考えたのかもしれない

そうで無くても誰にも無関心な彼が対応している時点で何らかの理由があるのだろうと思えた


此所が彼の世界なら今の現状は絶対に有り得ないだろう

勿論物騒な事はどちらに居ようとも全力で止めるけれど………






世界の違いは彼を変える


私はこの事をよく知っている


日常的に仕事で人の命を摘み取り私との生活と両立させる彼は時折酷く歪で猟奇的な顔を覗かせた

これは彼の本質なので根本的に変わらないものの

命のやり取りの無い私の世界では意識的なのか無意識的なのか少し穏やかになるのだ



だけど……………それでも…………


彼女達の声が彼に届き、彼の唇が開く今の現状が本当に嫌だった


頭で理解出来る事と胸に感じる事は別物で私の心は簡単に独占欲で溢れてしまっていた



例え彼が本気で相手をしていないとわかっていても彼女達は本気じゃないか……………