ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第17章 過保護さんと動揺
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安曇野市は日本有数のわさびの名産地としても知られているらしく、ご当地グルメ制覇を密かに目指す食い意地の張った私はそこに目を付けたのだ
彼はと言えば生わさびを堪能出来ると伝えると実に迅速な承諾をくれた
そんな訳で高山に次いでやって来たのは大○わさび農園!
日本一広大なわさび農場が観光地として敷地公開をしているのだ
メインとしてお昼ご飯を目的にやって来た私達だが俄然観光する気分満々である
エンジン音が止まった静寂は開いた扉からサワサワと騒ぐ木々の音に消えて爽やかな風が髪を揺らす
駐車場に降り立った私は遠くに聳える残雪が鮮やかな北アルプスの山々の姿に深く息を吸い込んだ
空の青が透き通って気持ちいい
それだけでも楽しい気分になるのにこれからまたひとつ彼との素敵な思い出が増えるのだと思えば胸はワクワクと弾んで
先に歩き出していた彼が緩く此方へ振り向いた姿に思い切り駆け寄った
「何処から回りましょうか!」
「地図を見て決めよう。」
「そうですね!」
新婚旅行……………私達は確かに新婚旅行に来ている
だけど私の胸の高鳴りは大好きな恋人と初デートにでも来ている様に響いて何でもない場面でも笑ってしまう
長い脚で颯爽と歩く彼が自然と歩幅を合わせてくれる事が心地好くも嬉しくて
そっと見上げた先、彼は出入り口とは違った方向を見ていた
つられる様に視線を辿り見えたのは緑色のテント
農場の施設前に簡易的に併設されたテントには"クリアボート"と書かれた旗暖簾がパタパタと靡いていた
わさびは清んだ水でしか育たないと言われている通り、安曇○のわさび田湧水群は環境省の名水百選にも認定されている見所のひとつ………
「……………」
「……………。」
彼と見詰め合ったのはほんの数秒だったと思う
「………………乗る?」
やれやれと唇を開いた彼は私の思考を瞬時に見抜き、私は深く頷いていた
クリアボートなんて楽し気な響き………乗らない手は無い!!!!!!!
きっと私の顔はわかりやすく浮かれているだろう
「乗りましょう乗りましょう!!」
「わかった。」
途端に嬉々としてはしゃぐ私を横目に彼は小さく息を吐き出した