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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第17章 過保護さんと動揺







「地上では呼吸不全とみなされる程に血液に含まれる酸素が減少するのが標高約3000m………つまり、普段から低酸素の高地トレーニングをしていると肉体は抑圧された環境下に順応する。」



難しい言葉の羅列にちんぷんかんぷんながらもニュアンスから読み取ったものはドラゴン○ールだった




「………あれですか、ドラゴ○ボールの悟空とクリ○ンが亀仙人に甲羅の重り背負わされてて……みたいな」



顔色を伺いながらもおずおずと漏らした声に彼は少し考える様に視線を漂わせた後に頷いた



「……まぁ、そんな感じ。錘を背負った状態で身体が順応すれば錘を取った時にはスピードや力が付いているってやつの錘が酸素って所かな。」


実際に亀仙人のあのやり方は有効じゃないけれど……なんて言いながらも彼は私にわかりやすい様に話しを合わせてくれて

静かに、しかしはっきりとした声色で紡がれる彼の話しに私は耳を傾けた



幼い頃からそのトレーニングを日常的に受けていたのだと話す彼は地面に落としている視線を時折私にチラリと向けた


高地トレーニングは謂わば永遠に酸欠のまま身体を動かし続ける事

普通の人間ならまず有り得ないけれど彼はそういう血筋に生まれてずっと努力を積み重ねて来たのだろう

一般的な家庭で育った私と全く異質な家庭で育った彼


彼が彼自身や家の事をこんなに沢山話すのは本当に珍しい事で

私は真摯に相槌を打ちながらも本当は他に何か伝えたい事があるのかもしれないと思った



彼は何でも器用にこなす様に見えて自分の感情には凄く鈍感な人


何か彼にも理解出来ない感情があるのかも知れないし、もしかしたら只の流れから他愛無く話しているのかもしれない


私は彼特有の間合いで一通り話し終えるのを待った後に幾つかの何でもない質問をしてみる事にした


途切れた会話の間には爽やかな風が吹く




「イルミさんはずっとトレーニングしてたから私にはキツい!って思ったんですか?」


「うん。」







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