第17章 過保護さんと動揺

アルプスの迫力を存分に見せるカールの高潔さや珍しい植物、あっという間に流れ行く雲

全てが圧倒的で雄大な息吹きを感じる景望に私はすっかり感化されてしまった



登山なんて私には無理だと思っていたし、それは変わら無い

事故や自然の猛威に一人で備えて細心の注意を払い、己れの身体に様子を伺いながら……だなんて私には自信がないけれど

高山の植物や特有の環境が長年人々を惹き付け続けてきたのだ理由を肌に感じた


こんな所までロープウェイで来ておいて……なんて思われるかもしれないけど……

何にせよ今まで魅力を知らないでいた世界を素敵だと気付ける事は素晴らしい事だと私は思う

日本一高い所にある駅が何の意図で建設されたのか少し考えて

私の様に体力的な事だったり何らかの理由で登山を諦めている人がこの景色を知る為だったりしたら素敵だなと思った




「綺麗ですねぇ～………」


「そればっかりじゃん。」


「だって綺麗から！」


「沙夜子はリポーターに向いてない。」


「…………じゃあイルミさんは出来るんですか？」


「………………山だね。」


「…………山ですよ」



私は先程考えていた事を彼に話したけれど彼は「金儲けだろ」と短く言った