第16章 星降る夜の私達

新婚旅行【長野県編】




９月も下旬に入った



私達は現在長野県にいる



鮎事件のその後も勿論岐阜県を目一杯楽しんだ私達


先ずはモネの池、Instagr○mから有名になったこのスポットは元は名もない池だったのだが

水面に蓮の花が咲き、鮮やかな鯉が優雅に泳ぐ光景はモネの描いた池の絵画と似ているのだ

午前中が見頃との情報(イルミさん情報)により彼の指定した時間に見に行ったが本当に見事なものだった

美しい水質は透き通り、蓮が咲く池は静寂と神秘に充ちていた

何でも蓮は午前中に咲く花らしくその時が見頃だろうと推測した、なんて淡々と話してくれた彼は以前に図鑑で得た知識を存分に発揮してくれたのだ

その記憶力には目を見張りながらも、より美しい瞬間をと考慮してくれた事が何より嬉しかった

そして彼の読み通り平日の池は静かで其所に佇む彼は周囲を霞めてしまう程何よりも美しかった


その後、ガッタンゴーというレンタサイクルも楽しんだ

2006年に廃線になった旧○岡鉄道の線路の上を固定されたマウンテンバイクで走るアトラクション的な要素の強いアクティビティだ

雄大な自然を存分に満喫出来る"渓谷コース"を予約していた私達だが初心者向けではないし"まちなかコース"に挑戦してみては……という係員さんの提案を私は実に堂々と拒否した

別に邪険に対応した訳ではなく、二台が繋がったセットの自転車だし……彼がいれば大丈夫という他力本願な自信の現れである

ガッタンガッタンと鳴るレールの継ぎ目の音と特有の振動は胸を高鳴らせて片道3.3キロ……往復6.6キロのコースへ私達は出発した


さながら気分は冒険家！！！


木漏れ日眩しい緑を抜けてトンネルへ入れば変化する気温は肌寒いくらいだった

渓流沿いの山間を走り、拝むは美しい川の流れと高架橋からのスリル満点な光景

私はその度に「寒い！」と声を上げたり「高い、怖い！」と大はしゃぎでリアクションをとりまくり

時折訪れる自然のお友達(虫)に大絶叫したりと大変賑やかに楽しんだ


そしてUターン時にはすっかり力尽き、彼が黙々と自転車のペダルをこいでくれていた



「ほら、沙夜子またトンネルだよ。」


「……………さっむ」