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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第15章 言い伝え……?








「基本的には3秒ルールで全部セーフなんですけど今回はちょっと炙ろうかな!ね!良いと思いません?」



ヘラヘラ笑って見せながらカセットコンロをセットする


当然返事は無い


菌なんてものは大体熱で何とかなるだろう

そのまま食べるよりは幾分か清潔な印象を彼に与える事も出来る気がしないでもない



コンロの直火に鮎をかざして床に着地を決めた面を炙って行く



「ここの鮎屋さん人気なんですってー!リピーターも多いとか」

「他府県からのお客さんも多いらしくて売り切れたら閉店なんですって!」

「私達が行った時も、ね!最後かな?って感じでしたもんね、いやぁラッキーでしたよ」

「特に子持ち鮎は人気らしいですよ~!………あっほら外見てください、もうお店閉まってますよ」

「お店閉まっちゃったら新しいの買う事も出来ませんもんねぇ」

「て言うかこれ殺菌にもなるし温まるし良いですよね!」

「天然の子持ち鮎は貴重ですし、捨てる馬鹿なんかいませんよね!普通の神経からして食べ物を粗末にするのは駄目ですよ」

「ご飯残したらもったいないオバケが来るよー!とか昔言われませんでした?あ、これは異文化かな、ははは」



「…………………。」



私はだんまりを決める彼を相手にトークショーが如く喋り続けた

彼はそんな私から何故か視線を外さないけれど

とにかく私は鮎が食べたかった


「温まって美味しさも復活!いただきます」


苦労の末、口にした子持ち鮎は通常の鮎よりも脂のりが良くジューシーで絶品だった

やっぱり私の判断に間違いは無かったのだ

こんな美味しい物を食べないだなんて絶対に後悔していただろう





未だじっと刺さる視線の先、彼は数分ぶりに唇を開いた



「美味しい?」



彼が何を思っているのか気掛かりで歓喜するのを躊躇っていた私に投げ掛けられた声は

今まさに求めていた言葉だった



「はい!めっちゃ美味しいです!!また普通の鮎とは違うんですね!感動しました!」


嬉々として笑顔で答え、ムシャムシャと食らい付く私に彼は尚も頬杖を付いたまま



「良かったね。」



見事な棒読みで呟いたのだった









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