ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第15章 言い伝え……?
私が行動を開始するのにどれくらいの時間を有したかはわからない
鮎を食そうと間抜けに開いたままの口は気が付く頃にはこれでもかと饒舌に言葉を紡いでいた
「…………イルミさん3秒ルールって知ってます?」
なんて言いながら当然が如く鮎を拾った私は付いていた砂利を然り気無く床に捨てた
すっかり呆れた様子で頬杖を付いた彼の視線が其れを追っていたけれど気にしては負けだ
絶対に食べたいと取っていた子持ち鮎
大好物は最後に取っておくタイプなのだ
私は既に食べると決めて、行動は始まっている
しかし………彼にだけは、がめつい女だと思われたくなかった
「この世界には3秒ルールってあって、落ちて3秒以内やったら食べても大丈夫っていうのがあるんですよ」
「……………。」
本当は3秒なんて私が固まっている内に遠の昔に経過しているが構うものか
「そりゃもう昔からですよ?つまり、言い伝え的なやつなんですよ」
「まぁイルミさんは、ね!知らなくて当然ですけど、3秒以内やったら無菌なんですって、ほんまに全くの」
「………………。」
全く信憑性の無い事を口走りながらもまじまじと砂利チェックをしていた私だが、ここにきて先程より大振りの砂利を発見してしまった
危うく食べてしまう所だ…………除去………
再び砂利を床に捨てた私を無言のまま見詰める視線が生ぬるい
……………しかし………まぁまぁ汚れていたな……………これそのまま食べて大丈夫か…………?
さながら深刻な事件でも推理する探偵の気分である
それくらいどうしても食べたいという熱いパッションが胸に燃え上がっているのだ