ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編
第15章 言い伝え……?
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モニターのDVDが佳境に差し掛かる
元は小説で実話の物語はド○ューバリモア演じるルーシーにプレイボーイのヘンリーが恋をする所から展開して行く
ヘンリーは笑顔がチャーミングなルーシーに初めて本気で恋をしたのだ
しかしルーシーにはひとつ特別な事があった
それは交通事故が原因の後遺症で事故以前の記憶はあってもそれ以降の記憶が全て一晩でリセットされてしまうという事
その事実を知っても尚ルーシーを想うヘンリーだが……みたいなあらすじだ
コメディテイストで純愛を描いた作品にキュンと胸を締め付けられながらも、私は取っておいた子持ち鮎に手を伸ばした
お酒はこれで三本目
彼に至ってはウイスキーの瓶をワイルドに傾けながらコンビニで買ったラーメンの二つ目に差し掛かっている
どうしてそんなにスリムなんだと心底不思議だが羨んでも仕方がない
最後の鮎を存分に楽しもうと持ち上げたその時、悲劇は起きた
…………余所見していたのが悪かった……
私は鮎が刺さった串を事もあろうに取り溢してしまったのだ
ジーンズ越しで膝に感じる軽い衝撃
私は鮎を落としてしまったのだと気付いた
ここにいるよ、と教える様な戯れに手を伸ばすも、まるで生きている様に元気に跳ねた鮎
私の指先は悲しくも尾っぽをかすり更に落下
ワタシを捕まえられるかしら、なんて悪戯に囁かれた気分だった
まだ間に合う………っ!!
私はそんな彼女を追って再度手を伸ばした
履いているスニーカーにバウンドして宙を舞う鮎を見て、私を嘲笑っている………何故だかそう感じた
必死に追い掛け、もがいた私だが……………その行く末を只無力なまま見詰めるしかなかった
軽やかな身のこなしで私を弄んだ鮎がボトリと鈍く床に落ちて行く様はまさにスローモーション
私は隣に腰掛けている彼と暫く無言のまま見詰め合ってから、今の出来事を事実だと認識する為にもう一度床に突っ伏す鮎を見た
……………間違いない…………これは現実だ
「あーあ。」なんて無感動な声に最早手遅れなのかと過るが脳はまだイケると強気のサインを私に出す
………………ここが自宅なら、まぁ問題は無かった
しかし自宅の様でいてここは車なのだ
当然土足である