第22章 悪戯
その頃。
解散組と居残り組にわかれ 人数も減ってきた上の呑み屋で ヒソカは先程の様子を回想していた。
リネルはヒソカにとってオモチャみたいな存在だ。女性としての興味やいち人間としての好意があるかといえばそういうわけではない。
とはいえ、現時点では目をつけているランクにはいるわけで それをあっさりクロロが攫うとなれば 野次を投げつけたくなる感情もなくはないのが正直なところだった。
機会は好転するか否、五分五分と言った所だろうか。
そんな時、ヒソカの携帯が音をたてる。
画面を確認しヒソカはにやりと頰を緩める。
その場を立ち、電話に応じた。
「や、イルミ」
「この前の入金まだなんだけど」
「クク、ごめんごめんちょっと手違いで」
「今後もうお前の依頼受けないよ」
「そう言うなよ。明日には必ず」
督促の要件を終えた後もすぐに電話を切られる事は無かった。無言の空間の意図は何なのか、ヒソカはゆっくり指摘した。
「あれ、切らないの?他にも何かあったかい?」
「今後一切リネルに構うな」
「リネル?どうして?」
「知ってるくせに」
何やらご立腹なのか、通話の先ではミシリと携帯を握り締める音がする。今、イルミはどんなオーラを発しているのだろうか、想像すると面白くてヒソカは声を明るくする。
「もちろん。わかってるって何もしないよ、今後もキミとは仲良くしたいしね」
「明日朝いちで入金が確認出来なかったら二度とないと思ってね」
「…………しかし、あっちもこっちも過保護だねぇ」
「どういうこと?」
「クク、何でもないよ」
イルミとの電話を終えた後、ヒソカは目元を楽しそうに細めた。
尾びれに背びれを携えて。どうやらまだまだ リネルには遊戯としての価値は十分にありそうである。さすがは自身で目をつけたオンナだと 自画自賛もしたくなる。
「忠告する相手はボクじゃないのに……♡」