第21章 酔い
「飲み比べってカルト、戦闘じゃなくていいの?」
「シャルは街中ではやたら殺り合うなっていつも言うじゃないか」
「まあね」
「私は戦闘でもいいよ?カルトにはさすがに負けないだろうし」
「コラコラ〜 リネルも大人げないな」
いつの間にか回りに人が集まっている。
四方から野次が飛んできた。
「ほう、面白い余興じゃないか」
「クロロまで……」
「ほほほっ 手加減してやんなさいなリネル」
「ビスケってば……」
リネルは堪忍した様に息を吐く。
カルトに向き直り、にたりと不敵な笑みを浮かべた。
「わかった やろうかカルト、飲み比べ。何が何でも勝って私を認めさせるから」
「ボクが勝ったら大人しく出てってよ」
「いいよ。その代わり私が勝ったらそうだなぁ……“おねえさん”てかわゆく呼んでもらうから」
「後悔させてやる」
カルトは袖口から小さな紙の包みを取り出した。中には粉状の薬のようなものがある、それをさらさら酒瓶の口に落としていた。
「何?それは」
「知らないの?ウチでアンコール耐性つける為の訓練で使うやつ」
「へえー 効果は?」
「濃度を倍増させる濃縮薬」
これまた随分と物騒なものを持ち合わせているではないか。
とは言え、リネルの過去の経験から言って たかがアルコールにそこまで酔い まして潰れるとは考えにくい。加えて相手はゾルディックであろうともまだまだ子供だ。
こうして、リネルとカルトの飲み比べ対決がはじまったのだった。