第21章 酔い
「ん〜……そう言われても もう引越しもしちゃったし一応結婚したってことになっちゃったし」
「うるさい。認めないったら認めない」
カルトは頑なだ。その様子にリネルとシャルナークは目を見合わせた。シャルナークは眉を下げていた。
「リネルダメじゃん。嫁ぎ先とは仲良くやらなきゃ」
「それなりにはうまくやってるよ。……カルトを除いて」
「はは、カルトにだけは認められてないんだ」
シャルナークはからりと明るく笑っていた。カルトが面白くなさそうに言う。
「大体リネルって何者なの?……みんなと知り合いみたいだし得体が知れない、第一ウチに相応しくない」
「別にいいよ 認めてもらえなくて。……あっ、一応聞くけどあの家でのカルトの発言権てどれくらいあるの?」
「…発言権?…」
「カルトに認められないって理由で追い出される確率はどれくらいなのかなあって」
「…お前…性格も最悪だね…」
大人気ないとは思いつつ、カルトのあからさまな反応が面白くなりリネルはにんやり笑みを作った。瞳を細めてカルトを見る。
「さてはブラコンなんだー カルトって」
「ブラコン?!別にそんなわけない!」
「あはは、確かにそんな感じはあるよね カルトは」
「シャルまでこのオンナの肩を持つの?!」
「なるほどねー まぁ長男はともかく、次男とは仲良くやれそうだし、三男とは元々知合いだし、ママさんには気に入られてるっぽいし、パパさんとおじい様ともまあそれなりにはやっていけそうだし……部外者の私があの家に入る事が嫌なんだ」
「部外者どうのじゃなくてボクはお前自体が目障りで嫌い」
なんてはっきり、言葉に棘があるのだろうか。
カルトは急に小柄な身を翻す。つかつか歩むとくるりと振り返り、リネルの目の前に大きな酒瓶を突き付けてきた。
「ボクと勝負しろ」
「勝負?なんの?」
「飲み比べ!!ボクに勝てたらとりあえずは認めてやらなくもない」
「飲み比べって……子供には負けないしそんな事できないよ」
「ボクを舐めるなよ」
とんだ急展開を受け、2人のやり取りを見ていたシャルナークは面白がるように口を挟んだ。