第2章 指摘
「想われてるのねー なんだかんだ」
「そんなワケないでしょ。割り切った関係だし」
「なんで言い切れるわさ?オンナにそんなものつけるオトコの心理なんて独占欲の他に何があるの」
「私に対しては絶対にない」
「ふう~ん?」
にやにや笑みを浮かべているビスケの態度はいい加減不愉快だ。リネルは眉根を深く寄せた。
「ビスケ なんでそういう方向に持っていこうとするかな」
「別に無理やりこじつけてるんじゃないわさ?状況分析してるだけ」
「何も知らないクセに」
「小娘の事くらいわかるわよ」
「……ふんっ」
ぷいと顔を背けてやった。
ビスケは食後のお茶を全て飲み干し、にこやかな表情とともに立ち上がった。
「まあ 何か進展あったら教えなさいな」
「あるワケないし。てゆうかもう会わないかもしれないし」
「何があるかわからないから人生面白いんだわさ。失恋したら呑みにでも付き合ってやるから安心なさいな」
「はぁ?!なんで私が一方的にフられなきゃならないの?!そもそも私だって相手にすらしてないのに!」
「ほほっ プライドの高い女は可愛げないわよ?」
「別に可愛くなくていいし」
「もったいない女ねー」
ビスケは颯爽と去ってしまった。
リネルは皿に残るフルーツを口に詰め込んだ。
もしも近々に殺し絡みの仕事が入った場合、自ら対応不可なほど業務が立て込んでいた場合、その案件をどう捌くべきかを真剣に考えてしまった。