第2章 指摘
「ったく。恋人でもないオトコに何されてるわさ!アンタ仮にもハンターでしょ」
「……ムカつく」
「恋人だってんならやだ~アツアツね~って冷やかしてやろうかと思ったんだけどねえ。……なに?アンタの片想い?」
「はあ?冗談じゃない」
声は低く早口で、リネルは冷たく言い捨てた。ビスケはますます楽しそうである。
「なんか今日のアンタ オーラがずいぶん感傷的だわさ」
「ちょっとホントやめて。怒るよ」
「あ、付けられてるの気付いてて感傷に浸ってたーとか女々しいパターンだわさ?」
「まさか。知らない。今度傷害罪で慰謝料請求してやろうかな」
「傷付いてるのは身体よりも心の方、だったりして」
「ビスケ何か勘違いしてるよ。ただの仕事の下請け頼んでる人間なだけだし。てゆうかいい大人同士が男女でたまたま一部屋に居合わせたら お互いに合意のもとでそういう時もあるでしょ、深い意味なんかない」
「ふうーん?アンタらしい回答ね」
リネルは頬杖をつき、窓の外を見つめた。
昨日見合いという話が出て、イルミと夜を過ごすのも最後かもしれないと思うと変に寂しい気持ちになったのは嘘ではない。
深入りも後追いもする気のない割り切った関係だが、改めて指摘をされるとビスケの言い分がピタリと当てはまるようで悔しい思いが募るばかりだ。
「……後で消して。クッキィちゃんで」
「おやいいの?消しちゃって」
「いいに決まってるでしょ」
「いいわよー有料だけどね」
「ケチ」
「ギブアンドテイク。アンタそういうの好きでしょ」
悔しくもぐうの音も出なくなる。
キスマークなんて無意味なものを残してくれるイルミの意図はわからないし してやられた感が沸々と湧き出してくる。