第20章 幻影旅団
声を大きくするリネルを見て、フィンクスが低い声で言う。
「……ったく。お前らは昔から仲良すぎなんだよ」
「なんね お前はヤキモチやきか」
「そうじゃねえ!」
クロロは鼻先で笑っていた。
「どうしてもオレの側が恋しくなったら戻ってきてもいいんだぞ」
「……戻らないけどね」
「そんなに居心地がいいのか。イルミの隣は」
「そうは言ってないしそんなワケないでしょ!!……ビジネス上のポジションとしては悪くないから、こっちだってあの家の名前を利用させてもらうつもりだし」
「ふ、成る程」
リネルは一瞬不服そうな顔をする。グラスを一気に飲み干した。
その時、リネルの携帯が着信音をたてる。フィンクスが面白がるように言った。
「うお ラブコールか?!」
「それはありえない。……誰だろ?」
きっぱり言い切った後に 携帯画面を見ればそこにはパリストンの名前がある、リネルの顔が引きつった。
「え、なに?仕事で何かミスったかな…」
「面倒ね。結婚祝いに殺るか、そいつ」
「はは 気持ちだけもらっとく……」
フェイタンには苦笑いを向けた。パリストンは一応上司だ、加えて明日からは連休の予定 さすがに無視は出来ず リネルは一旦席を立った。
◆
「それって……電話でわざわざ言うことですか?!」
「だって連休中に出番があったら困るかなぁとも思いまして」
「いいですって!それはもう!!」
店を出て突き当り、同階には広いテラスがあり そこでパリストンの電話に応じていた。
プライベートの時間帯に電話が来ることはやや珍しく 何やら緊急事態ではなかろうかとヒヤヒヤしたものの、要件は例の大人向け結婚祝いの諸注意だったことには内心呆れ返ってしまった。
「…………はぁっ」
電話を切ってふと空を見上げる。
満月に近い月が高くに登り、涼やかな風が火照った頬に心地よかった。
今宵は 久しぶりに会えたクロロを初めとする幻影旅団メンバーとの再会も素直に嬉しく、まるで昔に戻ったようだ。
リネルは曇った顔をした。