第20章 幻影旅団
「リネルが結婚だと!?」
「うん。まあ、成り行きなんだけどね」
「よく貰い手が見つかたな」
「フェイタンそれどういう意味!」
フィンクスとフェイタンの間に入り近況を話していると グラスを手にしたクロロがひょいと顔を出してくる。
「どうだ?新生活は」
「ん〜……まぁそれなりには……」
「でもリネルが結婚て想像出来ねーな」
「フィンクスはしないの?結婚」
「無理ね。相手いないよ」
「なんだよ うるせぇな!」
フィンクスの空になるグラスに酒を継ぎながら、こういったノリも懐かしいと心を躍らせた。朗らかな雰囲気のリネルに対し、クロロはからかうように言った。
「一時はマリッジブルーになって泣き事言ってたクセにな」
「それは……っ……だって……」
「リネルがか ガラにもないね」
「あ?じゃあなんだ 今は絶賛新婚生活満喫中ってわけか?」
「全っ然そんなんじゃないよ!この前なんかいきなり首絞められてムカついたし」
「おお 過激だな」
「せいぜい怒らせて殺されんよう気を付ける事だな」
喉の奥で笑うクロロは相変わらず、言葉と本心がどれだけ一致しているのかはわからないままだった。
懐かしみ溢れる空気感は過去の出来事を思い起こす。リネルはクロロに幻影旅団のメンバーとして誘われた日の事を思い出していた。
「……ねえ クロロ」
「なんだ?」
「もしも……もしも私があの時旅団に入ってたら、どうなってたかな?」
「そうだな。ポジションとしてはシャルの右腕あたりか」
「そっか。それはそれで楽しそうだけど……シャルあれでスパルタなとこあるからな……」
「愛の鞭、だろう」
「う、う〜ん……」
「それかオレの秘書兼恋人代行、とでもいくか?」
「えぇっ……?!……」
恋人、だなんて予想外の言葉が出たせいで 思い切りクロロの横顔に目を向けた。
明らかにからかわれているのは明白だが ついわかりやすく身体が反応してしまった。呆れ声を出すのはフェイタンだ。
「団長 何言い出すか。つまらない冗談ね」
「バレたか。リネル 本気にするなよ?」
「はぁ?!す、するわけないでしょ!」