第19章 お祝い
「シャル…………」
「え……あれ、もしかしてリネル?!」
やはりシャルナークだった。数年ぶりに見る顔だったが全くと言っていい程変わっていない。一目見ただけですぐに誰かはわかった訳だ。
当時、幻影旅団結成時にリネルはメンバー候補としてクロロに声をかけられていた身だ。故に 初期メンバーとは全員顔見知りであった。リネルはビスケに一声かけて席を立ち、シャルナークに近付いた。
「やっぱりリネルだ、うわぁ久々!」
「シャル全然変わってないねー すぐわかったよ!」
「リネルも全然変わんないよ。でもちょっと大人っぽくなったかな?」
はは、と笑顔を浮かべるシャルナークと話していると他の幻影旅団メンバー達も次々と店に入ってくる。
聞く所によれば、あるお宝強奪の打ち上げを催すためにこの店をアサインしたとの事。
全く持っての偶然だが、知っている顔もあるためリネルとしては昔懐かしい心持ちになる。中でも1番よく知る顔を確認すれば、リネルは自然と笑顔になる。クロロの元へ近付いていく。
「クロロ 久しぶり!」
「リネルか。……すごい偶然だな」
昔のよしみや先日にお茶をした事もあり、クロロとしばしの立ち話の後、ふとビスケの姿を探せば フィンクスやシャルナーク達とにやにや砕けた顔付きでちゃっかり楽しそうにお酒を呑んでいるではないか。
「……もう、ビスケってば……」
「まあいいだろう。折角だ 合流して呑むか」
「うん、そっちがいいなら」
「おう!!来いよ〜リネル!」
ジョッキを持ち上げながらそう呼んでくるのはフィンクスだ。懐かしさいっぱいの雰囲気に触れると楽しさが込み上げてくる。
リネルは明るい声でクロロに言った。
「ねえクロロ、私無事に結婚したよ。事実婚だけど」
「そうか。おめでとうリネル」
仲間を束ねている時のクロロは外見もきりと凛々しいが、表情こそはリネルのよく知るクロロで 口元を緩めて優しく笑みを返してくれた。
ふと感じる小さく鋭い視線には気付かないフリをして、リネルは輪の中に入っていった。