第16章 独占欲
身体を起こすよりも先に馬乗りになってくるイルミから逃れようと、リネルは声を大きくした。
「な、……なに!?いきなり!」
「なにってそれくらいわからない?泊まっていくクセにその気なかったなんて聞く気はないよ」
イルミはリネルの両手首を掴むと ベッドに深く押し付けてくる。はらはら落ちてくる黒髪に縛り付けられるようで、リネルは刹那怯えた顔をした。手首だけばギリギリと、力の攻防を続けている。
「見た目より結構力あるね。リネルは強化系だっけ?本気で抵抗されるとさすがに面倒だから乱暴になるけど」
「やっ、やだ……」
「なら大人しくしてて」
昼間に付けられた痣の辺りに、イルミは顔を埋めてくる。
そこに唇が触れるとじんとした痛みが走る。きっとわざとだ、執拗にそこを攻められるとあの時のオーラを身体が思い出してしまい ガチガチと身が硬直する思いだった。
「っ、……いやっ!!……」
「大人しくしてろってば」
イルミは手首にまで、爪を食い立ててくる。
耳朶を甘噛みされて舌でなぞられてゆく。身体の力が緩みそうな感覚はじわじわ理性を蝕んでゆく。
それに逆らうよう、リネルは両手に力を入れる。
「……やめて、っ……やだ……!」
「やめないよ」
そう、冷たく言い放たれた。
もはや抵抗するだけ無意味だろう。わかっていても急な展開をすんなり受け入れるのには理由が必要だ。
リネルは身体の力を抜いた。感じるイルミの身の感触は重く大きく こちらの存在を遥かに凌駕する。下手をすればこれ以上の怪我をもらう可能性だってある。
「…じゃあもっと、…優しくしてよ……ヒソカと呑んだの、怒ってるの…?」
イルミはリネルの服に手を掛けてくる。
ワンピースを裾から一気にたくし上げられ、掌が中に入ってくる。太ももから腹を伝う指はすぐに胸まで到達し、柔らかなそれを掴まれると 形をいびつに歪められてゆく。
「ヒソカってどんなヤツだか知らないの?いつ殺されるかわからないよ」
「……ヒソカにはただ情報を売っているだけ。ヒソカは私を、殺さないよ……」
「どうしてそう言い切れる?」
「そ、…れは…」