第16章 独占欲
それにしても、こうしてイルミと話をしつつ酒を飲んでいるのも改めて不思議に思う。リネルはソファに深く座り直して、フルーツの盛るプレートからイチゴを一つ口に入れた。
「そうだ、リネル」
「ん〜?」
「リネルってヒソカと付き合いあったりする?」
「え、……?」
予想外の名がイルミの口から出た事により、不覚にも一瞬の動揺を見せてしまった。リネルは目を泳がせ 誤魔化すようにグラスを飲み干した。そして、何食わぬ顔を保ち答えを返した。
「時々ね。情報欲しいって言ってくる」
「やっぱりリネルだったんだ。ヒソカの言うハンター協会の情報屋って」
急にヒソカの話題に切り替わってしまったようだ。とは言え 責められる事は何もないし詮索されるのもごめんだ。会話の主導を取ろうと、リネルは少しだけ話題をそらす。
「それよりさ。なんでヒソカに結婚のこと言ったの?!面白がるの目に見えるじゃん」
「結婚するとは言ったけど。相手がリネルだとは言ってないよ」
「え…………?」
うまい切り返しやとぼけたふりは幾らでも出来たはずなのに。酒のせいなのか狼狽を見せてしまった。目を泳がせるリネルの様をイルミはじっと観察する。
「会ったの?ヒソカに」
「え?……あ、うん、ちょっと……」
「さては昨日呑んでたのってヒソカ?」
「まぁ、……あの、仕事の話で……」
イルミは明らかにこちらの反応を事細かく汲み取っている。
何一つやましい事もないのにあからさまな猜疑心を含む視線を送られては余計な緊張が先走り、言い訳を考えるよりも早く 口先で回答を返してしまっていた。
イルミは手元のグラスをテーブルに置く。
立ち上がると、リネルの腕を掴んでくる。
「な、……なに?」
引かれれば強制的に立たされる。イルミはリネルを無理矢理横抱きにすると、部屋にある大きなベッドまで向かう。
そこにリネルを乱暴におろした。