第12章 誘い
そして2日後。
ようやく明日は休みという夜だった。
リネルは無事に終わらせた仕事の達成感に大きな伸びをしてから、ハンター協会を出た。
明日の休みをイルミからあけておけと言われたが、その後の詳細連絡もないまま。こちらから連絡するのも釈ではあるし 明日は休みと思えば気分が幾分か晴れやかだった。
普段よりも軽い足取りで帰路につこうとすると、目の前にある人物がひょっこり顔を出してくる。
「やぁリネル お久しぶり」
「……ヒソカ」
ヒソカといえば神出鬼没で何を考えているかもよくわからないのは今に始まったことではない。さほど驚きもしなかった。
ヒソカの表情はにんやり朗らかだった。
「この前は情報をありがとう」
「ああ、あれね。こちらこそ情報買ってくれてありがとう」
「これからどうだい?」
「どうって、何が?」
「飲みにでも♡」
「……」
ヒソカが2度目のハンター試験を受けた時、リネルは試験官補佐をしていた経緯でヒソカとはそこで知り合った。
その後、リネルの事を情報源やら体良く扱っているようで 時々このように絡みにくるのである。
リネルはわざとらしくきょとんとした顔を繕い、ヒソカに尋ねた。
「飲みって、……急になんで?」
「話があるの」
また何か情報の提示依頼だろうか。
ハンター協会のコネで手に入る事柄を買ってくれるヒソカは リネルにとって「危害さえ加えなければ」悪くはない存在だった。
何よりも明日は休みと思えば たまには羽伸ばしをしても、との気持ちにもなる。
「……何か企んでる?」
「今日は純粋に、キミと話したい」
「……わかった。行く」
「それは良かった」
この付近は比較的都会で、店は沢山ある。ライセンスを使えばそれなりの店の個室だって簡単に押さえることが出来るから便利である。
そんな事を考えながら、リネルはヒソカの後ろについて 夜の街へ向かっていった。