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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第12章 誘い


しばし仕事に取り組んでいると リネルの前に爽やかな笑顔を浮かべたパリストンがやってくる。何やら分厚い資料のような物を山ほど抱えているではないか。
嫌な予感しかしない、リネルは思い切り怪訝な顔をする。パリストンは可愛らしい箱をちょこんと取り出し、ますます笑顔を深めた。

「はい、プレゼントです」

「……いりません」

「えぇ?!これ近くに出来た話題のケーキ屋の期間限定モノですよ?!」

「だってそれ頂いたら、その後ろのファイルの山ももれなく付いてくるのが目に見えますし」

「あはは これですか?」

白い歯を覗かせ頭を掻いてみせるパリストンは、資料についての説明をしだす。

聞けばハンターサイトの情報を更新するため、その資料の内容をまとめてサイトにアップしろというもの。大事な仕事ではあろうが、リネルとしてはそんな超がつく雑用は他の人間に回してくれと言ってやりたくなる。

「リネルさんこの前ダブルの資格欲しいって言ってましたよね?僕が協力してあげますから!ね?」

「それはそれ!これはこれ!ですよ。……もっとこう、ハンターぽいアクティブな仕事がしたいんですが」

「それも追い追いね。はい、そういう訳でお願いしますね。早速お茶入れて下さい!ブレイクタイムにしましょう」

「…はぁ…」

パリストンはその場に腰掛け、当然のように足を組む。

仕方なしにリネルは作業の手を止めてその場を立ち、渡された数冊のファイルをパラパラと見てみる。
ゾルディック家の次男であればこの手の仕事に詳しそうであるし 今後はやり方次第で手伝ってくれたりするのではないかと想像しながら、給湯室へ向かった。


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